ボトックス注射によるシワ取り療法

眉 間や、目尻、おでこなどの表情じわは、眉をひそめたり、おでこを上げたり、目を大きく見開いたり、笑ったりなどの表情を作る際に、顔の皮膚の細やかな筋肉 が収縮して生じます。

表情を長年繰り返し作るほど、しわが習慣づけられ、より深くなっていきます。このようなしわには、筋肉の動きを一時的に止める働きのある、ボツリヌス・トキシン（ボトックス）の注射が適しています。ボトックス注射は表情筋の一部 をリラックスさせ、表情じわを消失、改善させます。ボ ツリヌス・トキシンはボツリヌス菌という細菌が産生する毒素で、食中毒の原因のひとつでもあります。運動神経に作用して、筋肉を麻痺させる作用がありま す。いろいろな研究の結果、この毒素をごく小量だけ、痙攣している筋肉に直接注射した場合、その筋肉がゆるみ、痙攣が治まることがわかり、医薬品として利 用されるようになりました。1980年から眼科や神経内科領域にて、ボトックス注射を用いた眼瞼痙攣、斜視、顔面痙攣、領域などの治療が行われてきまし た。日本では現在のところ、ボトックス注射による治療は眼瞼痙攣と片側顔面痙攣のみに保険適応で治療が行われています。１９９２年より美容目的にも、顔面 や首のしわに対するボトックス注射による治療が行われるようになり、欧米などでは広く、かつ安全に行われてきています。 ボトックス注射は注射した筋肉のみに作用します。表情筋の中でもしわを作っている一部分の筋肉に作用させることによ り、注射後も笑ったりという表情は失われないようにすることができます。

また、ボトックス注射は現在のしわをとるだけでなく、これから生じるしわを防ぐこと ができます。ボトックス注射は安全、簡便で、傷跡の残らない治療法です。表情じわができる機序に見合った治療法ですから確実な効果が得られます。 しかし治療効果には個人差があります。

すでに深く刻まれたしわや皮膚の老化を伴ったしわに対してはヒアルロン酸注射などのほかの治療法と組み合わせる必要 もあります。